透明シリコーンの特性としては、ヱビス堂さんの「シリコンゴム使用レポート(http://gk.plala.jp/silicon.html)」にも
「あらゆる強度面でポスト585の現状イチオシに近いゴムです、ある程度の脱泡装置・技術があれば覿面に使い勝手のいい材料になるでしょう」
と記されていたので、良さそうだなと思っていました。
ただ、問題なのは「気泡」。透明系の素材は攪拌時に巻き込んでしまう空気が気泡となって残ると、見てくれが悪いだけでなく型の変形を招く訳ですね。
気泡が抜けやすい素材=粘性が低い、なら自然に放置していれば気泡は抜けてくれますが、シリコーンゴムでもこのボークスの透明のやつはけっこう粘り気あります。攪拌前は水飴のような感じです。
脱泡のための器具が必要。
しかし真空脱泡の装置なんかは高そうだし、個人でこぢんまりとやるには抵抗があります。
という訳で安価な器具で試せないかといろいろ情報を漁ったりしましたら、
真空バキュームケース&真空おひつ
http://thunderroad.seesaa.net/article/53334818.html
http://thunderroad.seesaa.net/article/53702001.html
人柱の方がいらっしゃいました。
どちらの器具も5,000円もしません。ネット通販で購入可能です。
実は真空バキュームケースの方は、この人柱記事を見る前に買って試していたのですが…(ゴムじゃなくて無謀にも透明レジンの脱泡目的で('A`))。
レジンは硬化時間も早い上に、このバキュームケース、あまり強力に真空にすることができない&数分かかるので役に立ちません。無駄な買い物だったー、と半年ほど放置されっぱなしでした。
でも硬化に時間がかかるシリコーンで、しかも事前に手動ポンプの真空おひつで強力に脱泡した後ならば、参照記事のレベルの脱泡状態は期待できるはず。

ということで8月にこのおひつをアマゾンで購入。3,000円もしません。
2.2合のお米用ですからけっこうなシリコーンでも攪拌可能です。
これにボークスの透明シリコーンを直接注ぎ、硬化剤を説明書通りの比率で加えて静かに攪拌します。
静かに、といっても、常態での攪拌ですからどうやったって空気を巻き込んで泡だらけです。
気にせず、充分に攪拌してからフタをして空気を抜きます。

ゴムの表面が大きな気泡でボコボコになっているのが分かるでしょうか。
これが真空の効用ですよね。大気圧が低くなるのでシリコーン中の気泡が大きくなって、体積が大きくなる分シリコーン中で浮きやすくなる。で、表面に出てくると
(…違ってたらすみません('A`))。
写真だとあたかも「煮立っている」ようにも見えますが、別に熱くなってる訳でもありませんので無問題。じわりと時間をかけてこの状態になります。
で、これを先般の人柱記事に記されている通りに15分放置。
すると:


15分でかなりの気泡が消えています。
このシリコーンは15分程度ではまだ硬化始まりません。説明書によると30分経過で硬化が始まるそうで。
後は今まで使っていたシリコーンと同じ要領で、粘土に埋めた型に、静かに注ぎ込みます。エアブラシ等で気泡を抜きつつ。……ここで一気に注いでしまうと、その再に空気を巻き込んでけっこう気泡が残ってしまうので、慎重に。
注いだ後は、真空バキュームケースに入れて、スイッチオン。
まあ劇的な効果…は、ないんですが(を。せっかく持ってるんだから使わない手はないですね。

…一応、残留していた僅かな気泡が二つほど浮かび上がってきました。
無駄ではないようです(赤丸部分)。

これで一日程度待ちます。10時間くらいで指紋も残らないくらい硬化しますけども。
で、両面やって、ケースから取り出したのがこれ。つい先刻です。

ずいぶん濁っているように見えるかもしれません('A`)。
まあ光の透過性は、ねえ。ゴムですし、それに両面取りした後ですから、下のゴムが光を反射して、分離した面で白っぽくなってるというのもあります。
目立つ気泡はほとんどない、というあたりで、充分に使える型になったんじゃないかと思います。…自分の場合、粘土埋めの技術とか配置が拙いので、綺麗な複製ができるとは限りませんが。
透明だからレジンの流れ込む様子や気泡の位置なんかも把握できるといいなあ、とか思ってます(´д`)。
という訳で人柱レポートの追試でした。